書誌事項
- タイトル別名
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- Development of a psychological assessment tool using facial expression drawing
- カンジョウ トウエイ ヒョウジョウ ビョウガホウ ニ ヨル シンリ アセスメントツール ノ カイハツ
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説明
背景 心理アセスメントを行う過程において、言葉や表情などによる表出の内容は重要な情報資料となる。その表出内容を構造的に収集する方法として、質問紙法や投影法による心理検査法がある。しかし、質問紙法は心理面の表層部分に適用範囲が限られ、投影法は検査判定の不安定さが問題点として指摘される。そのため, 質問紙法の客観性・簡便性と投影法の広い適用性とを併せもったアセスメントツールの開発が望まれている。 目的 本研究の目的は、簡便に解釈および評価することが可能な表情描画法による心理アセスメントツールを作成することである。 方法 大学生255名を対象に、多面的感情状態尺度、気分調査票および表情描画シートで構成される無記名式質問紙調査を実施し、その有効回答者211名を分析対象とした。まず、因子分析を行って多面的感情状態尺度および気分調査票を集約し、各項目標準偏差に基づき上位・下位得点者の表情描画の顔パーツの形を選出した。次に、感情因子であるネガティブ感情 (N感情) とポジティブ感情 (P感情) の顔パーツの形を各パーツ単位で確定し、表情描画シートのN・Pサインを特定した。また、7つの感情を独立変数とするロジスティック回帰分析を行い、表情描画スコアの適合性を検討した。 結果 「抑醒・不安」「倦怠」「疲労感」「不安感」を下位因子とするN感情因子と「活動的快」「集中」「驚愕」を下位因子とするP感情因子で構成される感情因子が抽出された。N感情とP感情のサインの特定については、N感情サイン (左右眉2サイン、左右目2サイン、口4サイン) およびP感情サイン (左右眉1サイン、左右目2サイン、口2サイン) をスコア化し、これをもとに表情描画シートの表情描画スコアを作成した。N感情を1、P感情を2としてロジスティック回帰分析を行った結果、「倦怠:Exp (B) =1.20, 95%CI [1.04, 1.38], p<0.02」「抑馨・不安:Exp (B) =1.16, 95%CI [1.00, 1.34], p<0.06」が認められた (回帰モデルの正分類率74.4%, p<0.001) 。 結論 ロジスティック回帰モデルにより、感情投影表情描画法の妥当性 (感情判別の的中精度) が確認され、「倦怠」「抑諺・不安」の把握に適していることが示唆された。つまり、開発された感情投影表情描画法は、P感情よりもN感情の側面を相対的に捉えるのに適したアセスメントツールといえる。
収録刊行物
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- 人間看護学研究
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人間看護学研究 10 33-42, 2012-03-31
滋賀県立大学人間看護学部
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390853649743016576
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- NII論文ID
- 40019261391
- 120005540069
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- NII書誌ID
- AA11960281
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- NDL書誌ID
- 023647810
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- ISSN
- 13492721
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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