<症例報告>血栓性素因・出血傾向の診療の進め方 : 血栓症・出血傾向のケースレポートを通じて

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  • ショウレイホウコク ケッセンセイ ソイン シュッケツ ケイコウ ノ シンリョウ ノ ススメカタ : ケッセンショウ シュッケツ ケイコウ ノ ケース レポート オ ツウジテ

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抄録

血栓症や出血の原因が血液そのものにある場合,それぞれ血栓性素因,出血傾向と呼ばれる。本稿では,血栓性素因と出血傾向の診療の進め方を,自験例での患者データをもとに論じた。Case 1:上腸間膜静脈血栓症を起こした 51歳,男性。血栓性素因の検索を行い,先天性血栓性素因の原因の一つである凝固系調節因子Protein Sの活性がProtein C活性の半分以下に減少しており,またProtein Sの抗原量に比し活性が明らかに低いことが判明した。以上より本例は,先天性Protein S分子異常症と考えられた。Case 2:CKD,透析導入となった79歳,男性。透析時の穿刺後の止血困難が見られた。出血傾向の原因検索を行ったところ凝固第V 因子(FV)が高度に低下しており,交差混合試験(cross-mixing test)では非典型的ではあったがインヒビター・パターン,FV のBethesda 法アッセイで1.4 BU/mL のFVインヒビターを検出した。以上より本例は,まれな後天性FVインヒビターと診断された。また凝固系インヒビターであるループスアンチコアグラントも陽性であり,FVインヒビターとの関連を検索中である。

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