<資料>青木ケ原樹海における自殺未遂について:予備調査

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タイトル別名
  • Attempted Suicide in Aokigaharajukai: A Preliminary Study
  • シリョウ アオキガハラ ジュカイ ニオケル ジサツ ミスイ ニツイテ ヨビ チョウサ

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説明

青木ケ原樹海は,自殺が多発する地域として有名であるが,これまでその詳細についての報告はなかった。昭和57年から59年の3年間における同地域での自殺未遂116例につき,山梨県警察富士吉田警察署の資料を基に情報を収集し分析することにより,同地域における現在の危機介入の実態を把握し,その改善に役立てる目的で今回の調査を実施した。青木ケ原樹海での自殺未遂について幾つかの特徴が見出されたが,そのなかでも特に次の点が注目された。1) 自殺既遂者数から推定される自殺未遂者数に比し,実際に保護下におかれる自殺未遂者数が極めて低い。2) 自殺未遂者中の男女比は2.9対1と一般に言われている傾向とは逆転していた。3) 他者に対する敵意の表出に乏しく自己の消滅や静かな死を望む傾向がみられた。4) 現時点における危機介入はほとんどが警察の手にゆだねられており,短時間のうちに家族のもとへ自殺未遂者を戻すことに終わっており,精神医学的介入は皆無に近かった。自殺未遂者が,将来既遂に終わる危険は,一般人口に比べてはるかに高く,現在までの警察主体の危機介入に加えて,今後積極的な精神医学的介入が必要と考える。

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