中国の自動車リサイクル産業における課題 : 日本の経験との比較から

書誌事項

タイトル別名
  • The Issues of China’s Recycling Industry of End-of-life Vehicles : Based on Comparisons with Japan
  • チュウゴク ノ ジドウシャ リサイクル サンギョウ ニ オケル カダイ : ニホン ノ ケイケン ト ノ ヒカク カラ

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説明

中国では,1980年代から始まったモータリゼーションの進展に伴い自動車産業が大きな発展を遂げ,生産・販売ともに9年連続世界第一位を記録している。それに伴い今後,急激な勢いで使用済み自動車の発生が見込まれ,その適切な対応が急務である。しかし,現在の中国の自動車リサイクルの体制は回収・解体業者における技術レベル,並びに生産効率の低さに加え,無許可の違法業者が使用済み自動車を高価格で買い取ることから正規の認定業者に使用済み自動車が集まらず,事業不採算を招いている。違法業者による環境問題も想定され,日本の豊島事件のような社会問題の発生が考えられる。収益構造を先進事例である日本の自動車リサイクル産業と比較したところ,経営の中核が中国では鉄スクラップであるのに対し,日本では相場に左右されないリサイクル部品である。中国では禁止されている5大アッセンブリー部品のリビルト製造によるリサイクルが解禁されれば,現在の約10倍の利潤を上げることができると予測される。そうなれば,違法業者の収益額を上回り,違法業者と競合することが可能となる。さらに,今後は中古車の海外輸出による使用済み自動車の確保困難や電気自動車の普及を見据えた事業戦略が必要となる。

収録刊行物

  • 公共政策志林

    公共政策志林 7 115-127, 2019-03-24

    法政大学公共政策研究科『公共政策志林』編集委員会

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