子宮癌検診の財源の変化(一般財源化)による母性保健活動へ及ぼす影響に関する検討 : 福岡県について

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  • 加耒 恒壽
    九州大学医学部保健学科看護学専攻 : 福岡県対ガン協会(加耒)
  • 平田 伸子
    九州大学医学部保健学科看護学専攻(平田, 新小田, 野□, 北原)
  • 新小田 春美
    九州大学医学部保健学科看護学専攻(平田, 新小田, 野□, 北原)
  • 野口 ゆかり
    九州大学医学部保健学科看護学専攻(平田, 新小田, 野□, 北原)
  • 北原 悦子
    九州大学医学部保健学科看護学専攻(平田, 新小田, 野□, 北原)
  • 平川 俊夫
    九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学(平川)
  • 宮原 典子
    福岡県対ガン協会(宮原, 遠城寺)
  • 遠城寺 宗知
    福岡県対ガン協会(宮原, 遠城寺)

書誌事項

タイトル別名
  • Influences on Women Health Care After Change and Reduction of Financial Resources for Cytological Screening of Cervical Cancer in Fukuoka Prefecture, Japan
  • シキュウガンケンシンノザイゲンノヘンカ(イッパンザイゲンカ)ニヨルボセイホケンカツドウヘオヨボスエイキョウニカンスルケントウ : フクオカケンニツイテ

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抄録

母性保健の領域では子宮頸癌は婦人科性器腫瘍の中でも最も罹患者が多く、その早期発見が大切な テーマである。平成10年(1998年)から国のがん検診費の一般財源化により、多くの市町村で子宮癌検 診に関わる費用の軽減が行われた。これに伴う子宮癌検診に実態について検討した。福岡県の97市町村 のうち59市町村(60%)で子宮頸癌集団検診を施行している福岡県対ガン協会のデーターをもとに解析 し、検診受診者の増減が大きかった市町村には担当保健師にインタビューを行った。がん検診費の一般 財源化の前年度の平成9年度の市町村でのがん検診受診者数は59,606名から、施行された平成10年の 54,100名(前年比90.7%)と急激に受診者数が減少している。年齢別にみると全年齢層で減少している が、特に30歳代(前年比88%)、40歳代(83.8%)の減少が大きかった。市町村別にみるとがん検診費 の一般財源化後における変化が最も大きかったA町は地方交付税の不交付団体で、全国で唯一がん検診 を一旦中止の方針を決め、その後例年より時期を遅らせて検診が実施されたため、平成9年度1,093名 から平成10年度687名(前年比62.9%)と激減した。また他の受診者数が減少した市町村はがん検診は 継続したが、がん検診に関する広報活動を縮小したり、担当の保健師を減員したところがみられた。一 方で、少数ではあるが住民の誕生日にがん検診の通知を行い、さらに申込者に問診票を送付するなど積 極的に住民保健活動を行ない前年比120%と受診者を伸ばした市町村もあった。 がん検診費の一般財源化によりがん検診受診者が減少していることが明らかとなった。特に30歳代、 40歳代の減少が大きかった。また各市町村の取り組み方により受診者数が大きな影響を受けていること も示唆された。 最近の子宮頸癌の若年化の傾向や予防医学の重要性を考慮すると、改めてがん検診に対する財政面を 含めた行政と直接担当する保健師の積極的取り組みが母性保健を充実させるために重要であると思われ た。

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