外国人看護師候補者の教育と研修の課題 : フィリピン人候補者を対象とした国家試験模擬試験調査を通して

  • 川口 貞親
    産業医科大学産業保健学部 : 教授
  • 平野 裕子
    九州大学大学院医学研究院保健学部門 : 准教授
  • 小川 玲子
    九州大学アジア総合政策センター : 准教授
  • 大野 俊
    九州大学アジア総合政策センター : センター長, 教授

書誌事項

タイトル別名
  • Issues in the Education and Training of Foreign Nurse Candidates : A Mock National Examination of Filipino Candidates
  • ガイコクジン カンゴシ コウホシャ ノ キョウイク ト ケンシュウ ノ カダイ フィリピンジン コウホシャ オ タイショウ ト シタ コッカ シケン モギ シケン チョウサ オ トオシテ

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説明

日本と東南アジア諸国間の経済連携協定(EPA)の取り決めに従って来日し、全国の医療機関で研修・就労中の外国人看護師候補者の教育と研修の状況を探り、課題を検討するため、フィリピン人看護師候補者を対象とした看護師国家試験の模擬試験調査を実施した。対象は来日第1陣のフィリピン人看護師候補者の中で、調査協力の得られた59名である。調査に用いたのは、第98回看護国家試験問題の英語版である。調査は、財団法人・海外技術者研修協会と九州大学が協力して2009年12月に全国4カ所で実施し、日本の国家試験と同じ時間配分で行った。 その結果、必修問題の平均正答率は79%であった。領域別平均正答率をみると、看護系では61~73%であったのに対して、身体機能や疾患の基礎知識などについては55~57%であった。今までに試験問題を見たことがある者とない者では試験結果が大きく異なり、見たことがある者の12名(57.1%) が合格基準に達していたのに対して、見たことがない者で合格基準に達していたのは9名(23.7%) であった。これらの調査結果から、フィリピン人看護師候補者にとって国家試験合格の壁になっている要因としては、日本語履修の難しさだけでなく、日本・フィリピン間の看護教育カリキュラムや看護の基本方針の相違もあることが示唆された。候補者の国家試験合格に向けた学習方法の開発にあたっては、こうした観点も重要であることがわかった。

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