ガザミPortunus trituberculatus(Miers)の摂餌生態に関する研究

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タイトル別名
  • Study on the Feeding Habit of the Japanese Blue Crab, Portunus trituberculatus (Miers)
  • ガザミ Portunus trituberculatus Miers

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抄録

1.稚ガニ前期から幼ガニ後期のガザミを対象に発育に伴う食性の変化と摂餌生態を明らかにするため,胃内容物組成や胃の充満度を調査・解析した.2.ガザミは貝類,多毛類,甲殻類などを幅広く摂食し,その主要な種類は,貝類ではホトトギスガイ,多毛類,甲殻類ではヨコエビ,フジツボ幼生,かい脚類及びカニ類であった.3.シダマブシ棚に生息する遊泳期の稚ガニの胃内容物は甲殻類が大部分を占めていたが,干潟域に底着したものでは成長に従い,貝類や多毛類の捕食が多くなる傾向が認められた.4.シダマブシ棚に出現するガザミの全甲幅長別個体数及び胃内容物組成にもとづき,全甲幅長15mmを境に,脱皮令C_4以後のものの多くはシダマブシ棚から離散して干潟域に底着し,この時,食性にも変化が生じた.5.胃内容物は生息環境の動物相とよく対応したが,発育が進むとガザミの餌生物に対する選択性が認められた.6.ガザミの摂餌に経時周期があり,それは昼夜より潮汐のリズムとよく一致した.すなわち,昼夜の上げ潮から満潮時に活発に摂餌し,干潮時にかけての約6時間で胃内の餌を消化した.これらの周期は屋外の実験でも求められ,消化時間は室内の水槽実験でも確証された.

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