古典経済学における自然

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  • Nature in Classical Economics
  • コテン ケイザイガク ニ オケル シゼン

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説明

リカードとスミスの議論だけから, ここまで論じることが妥当であるかどうかは, 今後さらに議論を深める必要があるだろう. 従来の経済学では, スミスもリカードも同じ古典経済学として理解され評価されていた. 従来の経済学が抱えていた階級支配や, 分配という問題意識では, スミスもリカードも, 同様なレベルで評価することが可能であっただろう. しかし, 我々は有限な地球に生き, 環境の時代を乗り越えなければならない. という課題を背負わされている. そのような問題意識で, スミスとリカードを分析したのが本稿である. 残念なことに, 本稿のような視点でスミスとリカードを議論した文献に出会うことは少なかった. 唯一, 玉野井芳郎の議論を紹介することができる. 玉野井は「エコノミーとエコロジー」のなかで「自然をめぐる古典的論争」として, スミスとリカードの自然観を比較している. 玉野井はそこで, スミスの語る自然は「おどろくばかり豊富」であるがリカードの自然は「生きた自然」ではない, と比較するだけで論を終わっている. 残念なことに, 本稿で中心的に論じた, リカードの無限の商品と無限の自然, スミスの有限な自然のうえでの有限な商品, には触れられていない. 本稿の議論の視点は, 従来論じられてこなかったユニークな視点であると考える. それゆえ, 既存の研究を引き継ぎ, 発展させるという方法がとれなかったのが残念である.

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