<論説>ヴィクトリア時代のフェミニズムの一考察 : ガヴァネスの問題をめぐって

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書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>A Study of Feminism in Victorian England : around the victorian governesses
  • ヴィクトリア時代のフェミニズムの一考察--ガヴァネスの問題をめぐって
  • ヴィクトリア ジダイ ノ フェミニズム ノ イチ コウサツ ガヴァネス ノ モンダイ オ メグッテ

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説明

イギリスのフェミニズムの運動は、ヴィクトリア時代の初期から第一次大戦に至る時期の明確に組織された社会運動として目覚ましいものであった。この運動の主導権は、一貫してミドルクラスの婦人が握り、その解放の対象も、ミドルクラス婦人に限定されていた。だが、この婦人の反逆を惹き起した主要因は、ミドルクラスに特に顕著な、婦人の有給雇用への偏見反撥にもかかわらず、自活を余儀なくされたジェントルウーマンの経済的困窮の事態に存した。彼女らに開かれたほとんど唯一の職業は、半ば私的なガヴァネスであり、供給過剰のその職業の労働条件は、極端な薄給など、悲惨なものであった。そしてその諸事実が、形成期のイギリス・フェミニズムを発展させるコンスタントな圧力として作用した。このガヴァネス救済の企てが、女子の低劣な教育状況の改善、婦人の雇用領域の拡大運動を生み、それらが、当初のガヴァネス救済の狭い意図から、より幅の広いフェミニズムへと発展し、イギリス・フェミニズムの本流である婦人参政権運動の土壤と人材を成長させたのであった。

収録刊行物

  • 史林

    史林 56 (2), 224-258, 1973-03-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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