<論説>コンスタンティノープル三三〇年 : その実態と伝承の形成

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タイトル別名
  • <Articles>The Foundation of Constantinople : the Reality and the Legend
  • コンスタンティノープル330年--その実態と伝承の形成
  • コンスタンティノープル 330ネン ソノ ジッタイ ト デンショウ ノ ケイセ

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抄録

ローマ皇帝コンスタンティノスが紀元三三〇年にコンスタンティノープルに対して果たした役割を、「遷都」・「帝国の再出発」とみなすテーゼは、近年疑問視されることが多い。そもそも、三三〇年に関する文献を検討すると、同時代及び比較的この年に近い時代の文献は評価する傾向が殆どなかったにもかかわらず、五・六世紀になると積極的に注目されるようになることがわかるのである。本稿では、三三〇年のコンスタンティノープルについて、実態と伝承という二つの視点から考察した。すなわち、まず、コンスタンティノス帝の事業が多くの皇帝達の都市建設・命名と同質のものであることと、コンスタンティノープルが首都的体裁を帯び始めるのはテオドシオス帝治世頃であることを明らかにした。その上で、三三〇年の意義付けがその後コンスタンティノープルの帝国中枢としての地位が安定していくなか徐々になされること、六世紀に「三三〇年」についてのビザンツ的解釈の成立を読み取りうることを、五世紀以降の文献に描かれる三三〇年記述の移り変わりから論じた。

収録刊行物

  • 史林

    史林 71 (2), 223-258, 1988-03-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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