<論説>全関西婦人連合会の構造と特質

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タイトル別名
  • <Articles>The Structure and Nature of the All-Kansai Federation of Women 全関西婦人連合会
  • 全関西婦人連合会の構造と特質
  • ゼン カンサイ フジン レンゴウカイ ノ コウゾウ ト トクシツ

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抄録

全婦は、西日本の殆ど全府県に亙って地方に組織を持った広域連合会であり、構成しているのはいわゆる「官製・半官製的」、「体制内的」婦人会であった。その成立・発展の背景には、婦人を文部省内務省の主導する運動に動員しようとする地方庁当局の支持・後援があった。が、全婦は大阪を求心点として中央と地方をつなぎ、様々な性格の団体をつなぐ巨大なネットワークによって「婦人自治」を推進し、大きな社会的役割を果たし、官庁の意向を超えて婦選獲得運動に向かい、運動が地方に波及するのに貢献した。全婦は反体制団体ではないが、大正デモクラシーを体現していた。国家に奉仕することに疑問を持たぬ人々が、事実上家族制度のくびきを踏み越えて社会活動を主体的に組織し、婦選を要求していくというダイナミズムに全婦の特質があり、かかる抱擁力と弾力性に富んだネットワークの成立し発展するところに大正デモクラシーの時代的特質が看取できるのである。

収録刊行物

  • 史林

    史林 71 (5), 747-776, 1988-09-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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