<論説>新連邦主義におけるアメリカ連邦権力

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タイトル別名
  • <Articles>The American Federal Power in the New Federalism
  • 新連邦主義におけるアメリカ連邦権力
  • シン レンポウ シュギ ニ オケル アメリカ レンポウ ケンリョク

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説明

州政府や地方自治体への連邦補助金は、財政サイドにおけるアメリカ連邦制の中核的メカニズムである。レーガン政権が成立した頃、連邦対内支出の五分の一、州政府・地方自治体支出の四分の一強は連邦補助金が占めていた。この制度は国益を増進する手段の一つとして、リンドン・B・ジョンソン政権期に飛躍的な拡大をみせるが、制度の拡大にともなって、連邦権力の介入という連邦制の本質にかかわる重大な論議をよんだ。各レベル政府間の関係を洗い直し、過去三〇年以上の軌道を根本修正しようとしたニクソンの新連邦主義や、州の留保権限を謳った合衆国憲法修正第一〇条の重要性に関し、国民の注意をとくに喚起したレーガンの新連邦主義は、こうした背景のうえに登場する。本稿はニクソンやレーガンの補助金対策を概観することによって、建前と実際政策との間にどのようなくい違いが見られたかを検討しようとするものである。敷衍すれば、新連邦主義は今世紀アメリカ憲政史の潮流である連邦権力の拡大過程において、どのように位置づけられるかが本稿のポイントであり、さらにこの位置づけに関連して、連邦補助金制度そのものにどのような新現象が生じたのか、国民は連邦政府に何を要求しているのかにも言及する。

収録刊行物

  • 史林

    史林 73 (3), 317-352, 1990-05-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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