<論説>前四世紀アテナイの親族関係 : イサイオスの法廷弁論を中心として

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書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>Kinship in 4th century B. C. Athens : The speeches of Isaeus
  • 前4世紀アテナイの親族関係--イサイオスの法廷弁論を中心として
  • ゼン 4セイキ アテナイ ノ シンゾク カンケイ イサイオス ノ ホウテイ ベ

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抄録

前四世紀アテナイの家は、民族であるゲノスや、国家の下部組織であるデーモス・フラトリア等の、父系集団に内包されていた。しかしその一方でアテナイにはアンキステイスと呼ばれるいとこの子(もしくはまたいとこ) までの法定の親族の範囲が定められており、これは共系の親族に等しく拡がっていた。家が個人の精神生活に果していた意義や、その人的紐帯としての特質をとらえるためには、このアンキステイスに代表される共系親族の紐帯もまた重要である。本稿では前四世紀前半のアテナイで活躍した法廷弁論家イサイオスの弁論から、そこにはたらいている家族の論理を取りだすことにより、この時代のアテナイにおいては親族の紐帯が単婚小家族を核としつつ緩やかに共系に拡がっていたこと、その背景には、血縁原理よりも友愛原理を優先することをよしとする親族通念があっただろうことが導かれる。

収録刊行物

  • 史林

    史林 76 (4), 518-552, 1993-07-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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