<論説>饕餮=帝説補論

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タイトル別名
  • <Articles>Further Argument for the Theory of Taotie Symbolizing the Di 帝 Image
  • 饕餮=帝説補論
  • トウテツ テイセツ ホロン

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説明

筆者は殷周時代青銅祭器の目立つ部分に大きく飾られる饕餮が同晴代の支配者の最高神である「帝」の図像であると考えた。この論文は新たに知られた資料を使っての補論である。第二章で前漢帛画中で榜題によって太一と知られる神像から戦国時代の類例に遡り、角の特微の共通によって殷時代の所謂人面方鼎の器腹の像が太一であると推定し、同時代青銅器に同様な型式で飾られる饕餮が帝であるとした筆者の解釈の裏づけとする。また華中の大型鉦に飾られる饕餮が瞳を二つ持つことに着目し、これを伝説中で二つの瞳を持つとされる帝の舜に当てる。第三章においては出光美術館蔵の良渚文化の玉製の鳥の風切羽根が同時代の神面の額に立つ飾りと同じ紋様を持つ所から、後者が神的な鳥の羽根の束を象ることの証を得、その伝統を伝える殷の饕餮の額の箆形が羽根の束の形でその「気」を象徴することを知る。第四章においては「帝」字が音を示す要素として「束」を持つという『説文』の解釈を肯定し、上半には意味を示す要素として饕餮の額の箆形の象を持つことを証する。第五章には饕餮の額につく菱形が「甲」字に当る図形で、音の通ずる「曄」の意味をもってそこに附けられたものと解する。

収録刊行物

  • 史林

    史林 76 (5), 710-750, 1993-09-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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