<論説>ブルクハルトとドイツ諸大学における歴史学教育 : ジーベルによる歴史学ゼミナール導入との関連で

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書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>Jacob Burckhardt und Heinrich von Sybel
  • ブルクハルトとドイツ諸大学における歴史学教育--ジーベルによる歴史学ゼミナール導入との関連で
  • ブルクハルト ト ドイツ ショ ダイガク ニ オケル レキシガク キョウイク

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抄録

本稿は、ブルクハルトを一九世紀における大学の歴史学教師のひとりとしてとらえ、彼の教育活動全体を同時代のドイツ諸大学における歴史学教育との関係において位置付け、その特徴、意義について史学史的観点から考察した。ドイツ諸大学における歴史学は、講座が置かれた哲学部の専門学部昇格を機に、専門化を推進し、専門教育の確立とその制度化に努めてきた。ジーベルによる国家施設としての歴史学ゼミナールの導入は、その具体的あらわれである。ブルクハルトはこのような歴史学教育の動向が、国家による教育・研究の馴致をもたらし、国家の無制約の強大化を許すことを洞察して、むしろ、社会に根差した教育を志した。それは、国家権力にたいする抑止力となるべきヨーロッパ的社会の基盤である「教養ある市民」を育成するものであり、その目的を果たすものこそ、市民的基礎教育としての歴史学教育とその方法としての「文化史学」とであった。

収録刊行物

  • 史林

    史林 78 (6), 902-932, 1995-11-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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