<論説>「惣無事」はあれど「惣無事令」はなし

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>A General Peace Prevailed, but No Order for a General Peace was ever Issued
  • 「惣無事」はあれど「惣無事令」はなし
  • ソウ ブジ ワ アレ ド ソウ ブジ レイ ワナシ

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説明

藤木久志氏が一九七八年に提起した「惣無事令」論を、「令」の性格に注目し、その存立の正否について論じた。まず氏の「惣無事令」論とその後の研究史を位置づけたうえで、氏が「惣無事令」を最初に見いだした一二月三日付の秀吉直書の性格を検討し、「惣無事」の意味、直書にある「惣無事之儀今度家康ニ被仰付候」の解釈、返書としての性格、地域的ズレについて述べ、この直書を「ひろく関東・奥羽にわたる天下一統の実現をめざして発した大きな停戦命令」とする氏の位置づけは成立せず、さらに、秀吉がかかわった「惣無事」を具体的に分析し、それぞれが個別的・時事的なものであり、氏が想定した広域的かつ持続性のある「令」の姿をそこには確認できないとした。最後に氏の「惣無事令」を前提としたとき、それに跛行・逸脱する事例のあることを指摘し、広域的・持続的な「令」の存在に疑義を呈し、全体として氏の「惣無事令」論は存立しえないとする。

収録刊行物

  • 史林

    史林 93 (3), 361-389, 2010-05-31

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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