<論説>一九二、三〇年代南アフリカのカラード (特集 : 民族)

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>South African Coloured Identity in the 1920s and 1930s (Special Issue : NATION and ETHNICITY)
  • 一九二、三〇年代南アフリカのカラード
  • 192 30ネンダイ ミナミアフリカ ノ カラード

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説明

カラードは今日の南アフリカにおいて、他国のように有色人種の総称ではなく、ケープタウン周辺の先住民、解放奴隷、混血の人々を意味する。本稿では、この人々にとっての一九二、三〇年代の意味を探る。二〇世紀最初の二〇年、レイシズムの高まりはカラードを白人とアフリカ人の中間においたが、一方ではカラードの白人化も進行した。こうした事態に直面して、カラードのエリート層はとくに三〇年代、自己の歴史を語ることによってアイデンティティの明確化を図る。しかし、オランダ系/ボーア人のアフリカーナ・ナショナリスト政権による経済的、政治的圧迫が高まるなかで、白人との共通性の主張も一層重要になっていた。そこで、カラード・ヨーロッパ人協議会などに参加したイギリス系のリベラル派の歴史家が一定の役割を担う。リベラル派は、カラードの「文明性」に白人との共通項、アフリカ人にたいする優越の根拠を求め、広く影響を与えていった。

収録刊行物

  • 史林

    史林 94 (1), 76-105, 2011-01-31

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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