<論説>EECにおける「加速」の決定と欧州統合の進展 : フランスの立場を中心に (一九五九―一九六〇)

DOI HANDLE Web Site Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>The "Acceleration" Decision in the EEC and the Development of European Integration : With Particular Reference to the French Position in the Negotiations (1959-1960)
  • EECにおける「加速」の決定と欧州統合の進展 : フランスの立場を中心に(一九五九-一九六〇)
  • EEC ニ オケル 「 カソク 」 ノ ケッテイ ト オウシュウ トウゴウ ノ シンテン : フランス ノ タチバ オ チュウシン ニ(イチキュウゴキュウ-イチキュウロク〇)
  • The "Acceleration" Decision in the EEC and the Development of European Integration : With Particular Reference to the French Position in the Negotiations (1959-1960)

この論文をさがす

抄録

一九六〇年五月のEEC閣僚理事会の決定に基づき、EECは域内関税の撤廃日程を前倒しにする、「加速」と呼ばれる措置の実施を決定した。このことは従来、欧州統合が順調に進展していたことの証左として理解されてきた。しかしながら、「加速」を支持し、積極的にその実現を目指したフランスの対応を分析すると、この理解が一面的に過ぎることが明らかになる。フランス政府の眼目は、「加速」を利用してEECの国際関係上の地位を確立することにあった。そのためには「加速」において、対外共通関税の導入を定めることが必要と考えられたが、他の加盟国にとってそれは受け入れがたいものであった。アメリカが欧州統合のあり方に積極的に介入を始めたことで、「加速」における対外共通関税の導入の可能性が高まったが、更にフランス政府は「加速」の成立を確かなものとするために、従来関税撤廃と並行して共通政策の実施を求めてきた立場を放棄することを決定した。こうして成立した「加速」はフランスの外交的な思惑に大きく影響を受けたものとなり、EECが執り行う政策も関税撤廃を中心とするものに留まることとなった。

収録刊行物

  • 史林

    史林 96 (5), 684-718, 2013-09-30

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ