<論説>ドン・キホーテの夢 : 「文明国標準」の帝国日本の国際秩序観 (特集 : 文明)

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書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>The Dream of Don Quixote: The Qualifications of a Civilized Nation as Seen in Imperial Japan's Views of the International Order (Special Issue : Civilization)
  • ドン・キホーテの夢 : 「文明国標準」の帝国日本の国際秩序観
  • ドン ・ キホーテ ノ ユメ : 「 ブンメイコク ヒョウジュン 」 ノ テイコク ニホン ノ コクサイ チツジョカン

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抄録

一九世紀、欧米諸国は国際社会を形成した。この国際社会への参入基準が文明国標準である。本論では、近代日本の国際秩序観の特徴を、文明国標準論の視点から通観する。文明国標準は、国家機構や法制度だけではなく慣習や価値観も西洋文明化することを要求した。日本は、西洋文明受容を大前提とした文明国標準の帝国としての発展をめざした。日本は文明国標準のルールの変更にも従ったが、人種の壁は越えがたいことを認識するようになった。文明国標準にどんなに忠実であっても対等に扱われないことへの不満は、一九三〇年代に日本が西洋国際秩序の否定を伴う新秩序構想を唱えることにつながった。しかし、日本は、西洋文明を批判しつつも、日本がアジアの盟主である根拠として、西洋文明の受容に先んじていることを挙げざるをえなかった。結局、日本は帝国主義の枠組みから抜け出せず、ドン・キホーテのように、一九世紀型の文明国標準の夢を追ったのである。

収録刊行物

  • 史林

    史林 102 (1), 188-224, 2019-01-31

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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