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- 村上 修一
- 東京工業大学理学院
抄録
トポロジカル絶縁体、トポロジカル金属などのトポロジカル物質が理論・実験両面で注目を集めている. 近年の研究により、結晶のバンド構造がトポロジーによって分類され、上記のような物質においてはバンド構造が非自明な構造を持っていることが明らかになっている. これはちょうど、トポロジーによってドーナツとボールとが、穴の数によって区別されることと類似しているが、トポロジカル物質においては波数空間でのトポロジーを問題にするため、直感的な理解はそれほど単純ではない. 本講義ではこうしたトポロジカル物質に関して、初学者向けに解説を行う. こうしたトポロジカル物質にはさまざまなクラスがあり、ある種のクラスのトポロジカル物質では、物質のバンド構造の非自明なトポロジーに起因して、特異なエッジ状態・表面状態が現れることが知られていて、そのエッジ状態・表面状態の出現の裏にはトポロジーに基づく美しい理論体系がある. さらに重要なことにはこうした理論に基づく表面状態が、単に理論だけにとどまらず実際の様々な物質で観測されることであり、しかもそのような表面状態は、非トポロジカル物質では実現されない特異な表面状態である. 講義では、こうした事柄について、理論体系から実際の物質、実験に至るまで概論を説明する.
収録刊行物
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- 物性研究・電子版
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物性研究・電子版 8 (1), [1]-, 2020-02
物性研究・電子版 編集委員会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390853649777812608
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- NII論文ID
- 120006796455
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- DOI
- 10.14989/245745
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- HANDLE
- 2433/245745
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可