<論説>神統譜の展開 : 氏族系譜と神々の位置

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>The Development of Theogony in Kiki (記紀) : family genealogies and positions of gods

この論文をさがす

説明

記紀神統譜の最終的完成期が、天武朝をピークとする七世紀後半より八世紀初葉の時期である事は、多言を要しない。しかしそれ以前に神統譜の形成がなかつたわけではない。実は世襲王制の確立と発展の中で、系譜が文字化し、ヤマト朝廷の危機と昂揚の中で、皇室系譜を中心とする、各氏族系譜の統一がなされていつたのである。従って五世紀より七世紀前半までの神統譜の成立期が改めて検討される必要が生ずるわけだ。本研究は、これを氏族系譜における「今」の問題を中心に追究し、その成立期を三つの時期に推定し、神統譜の出発点をなす神々の問題より、更にその上限と下限の問題を推し進めんとしたものである。主として紀記の氏族系譜及びタケミカヅチ神と中臣氏、及びアメノヒナトリ命と出雲氏の問題を取扱つたが、六世紀後半より七世紀前半にかけての時期が、神統譜の定着化を考察する上で、きわめて重要な時点であり、それが宮廷儀礼と関連する所がある事を明らかにしたつもりである。こうした神統譜展開の複雑さが、ヘーシオドスの神統紀等とは質的に性格を異ならしめる所以でもある。

収録刊行物

  • 史林

    史林 39 (1), 1-23, 1956-01-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390853649778670208
  • NII論文ID
    120006818023
  • NII書誌ID
    AN00119179
  • DOI
    10.14989/shirin_39_1
  • HANDLE
    2433/249226
  • ISSN
    03869369
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    journal article
  • データソース種別
    • JaLC
    • IRDB
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

問題の指摘

ページトップへ