<論説>ダヤンカーンにおける史実と伝承

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タイトル別名
  • <Articles>Historical Facts and Legends Cencerning Dayan Qan
  • ダヤンカーンにおける史実と伝承
  • ダヤンカーン ニ オケル シジツ ト デンショウ

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抄録

蒙古文献に記される有名なダヤンカーンが中国文献の何人に当り、如何なる紀年を持つかは従来諸説があって一定しなかった。代表的な説として、和田清、萩原淳平両氏の説をここに挙げれば、和田氏はこれをバトムンケに比定し、一四六四生れ、一四八一即位、一五三二-三年死とし、萩原氏は前者の弟バヤンムンケとし、一四八八即位、一五一九-二〇年死とした。しかし私見によればダヤンカーンはバヤンムンケであり、一四六九生れ、一四八七即位、一五一九年死が正しい。蒙古文献は、バトムンケ、バヤムンケ、及びその後に立ったボディアラクの三代のカーンの事蹟を一人の英雄に集中的にまとめたものであり、完全に伝説化したダヤンカーンを構成している。蒙古文献特に蒙古源流は伝承を集大成したものであり、歴史文献ではない。和田氏の考えは、伝説を以て歴史を整理したところに基本的な誤があったのである。

収録刊行物

  • 史林

    史林 48 (4), 512-541, 1965-07-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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