オリジナル医学英語コーパスの分析知見の教材開発への援用

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  • Applying Internal Medicine Corpus Analysis Findings to the Development of Pedagogical Materials

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抄録

本論文の目的は,Harrison’s Principles of Internal Medicine (18th edition; 2012) という書籍のコーパス分析が,広島大学における医学生を対象とした専門英語教育で用いる教材作成に,いかに結びついたかを検討・報告することである。医学部3年生を対象とした特別授業は,現在も進行中であるコーパス分析・語彙リスト作成と教材開発を行きつ戻りつしながら,展開されている。コーパス作成と教材開発は,著者陣の医学分野に関する理解と学生のニーズ把握の深まりと相まって行われた。そして,医学生の学習支援を目指して,精選された医学英単語リストが,構築された(Fraser, Davies, & Tatsukawa, 2015)。 プロジェクトを進めるに際しての医学部教授陣への聞き取りでは,学部の早い段階での「解剖学」の勉強の重要性が強調された。それ故,Gray’s Anatomy for Students (2nd edition; 2009) を用いてコーパスを構築した。このコーパスは最も一般的に用いられる解剖学用語の特定に有益であった (Fraser, Davies, & Tatsukawa, 2014)。さらに,医学部側からは一般疾病やその症状にも重点を置くべきであるとの指摘があり,さらなる分析のために評価の高い Harrison’s Principles of InternalMedicine を用いることとした。 本論では,出現度数や教材での汎用範囲に基づいて,内科に関する最も有益な術語や表現リストを記述する。また,これらの語彙・表現の特徴や出現しやすい文脈などを検討する。考察を通して医学英語教育の教材開発における示唆が得られ,構築したコーパスがどのように教材の各ユニットにおいて用いられ修正されたかを例示する。初期の医学的談話(会話や文章)の作成(執筆)においては,医学の専門的知識が十分でないと,重要な術語や定型表現などを見逃したり不適切な使い方をしたりする。それ故,コーパス分析をすることによって,このような見逃しや不一致を確認し,使用の正確性を向上させ,教材の各ユニットに組み込むべき重要語句の数を増やすことが可能となる。

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