日野川水系に分布するイワナ属魚類の亜種,頭部斑紋型,遺伝子型の組成について

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  • Composition of subspecies, head spot types and genetic types of charr distributed in the Hino River, Japan

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抄録

鳥取県日野川水系におけるイワナ属魚類について,ゴギとニッコウイワナ,頭部斑紋型,遺伝子型の組成を調べた。計19の支流から38個体のサンプルが採集され,支流はその発する山塊ごとにグループ化された。ニッコウイワナは水系東部の大山・二子・花見山塊から発する支流に分布したが西部5山塊からの支流には分布せず,対照的にゴギは水系西部の鬼林・道後・三国・船通・鷹入山塊に分布したが東部3山塊には分布しなかった。斑紋型では東部3山塊ではC・E・F・G・Hは記録されたがA・B・D型は記録されなかった。一方,西部5山塊ではすべての型が記録された。遺伝子型では6および9つのハプロタイプがそれぞれニッコウイワナおよびゴギ特異的であり,1タイプのみ共通であった。デンドログラムではニッコウイワナおよびゴギそれぞれ5および6つのハプロタイプで構成される亜種特異的なクレードが見られたが,もう一つのクレードは両亜種で形成された。これらの結果は,日野川における両亜種の混棲,ゴギの複数起源性,地形変動等による分布拡大,さらに斑紋の易変異性を示唆する。

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