御幸牧場に発した低酸度二等乳に関する研究 V. : 各臓器のMg含量の低下と腎臓の石灰沈着について

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タイトル別名
  • Studies on 'the Utrecht Abnormality of Milk' in the Miyuki Dairy Farm
  • 御幸牧場に発生した低酸度二等乳に関する研究-5-各臓器のMg含量の低下と腎臓の石灰沈着について〔英文〕
  • ミユキ ボクジョウ ニ ハッセイシタ テイ サンド ニトウ ニュウニカンスルケ

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抄録

1970年に広島大学水畜産学部附属農場で集団発生した低酸度二等乳は1930年代にオランダ、ユトレヒトを中心に発生した"tbe Utrecht abnormaliy of miik"と全く同じ現象であり、これらの乳牛群には骨軟症の一種である骨粗鬆症osteoporosisが発生している事が判った。牛乳と血清はCaが高くMgが低いこと、牧草中のMg含量がDM中の0.2%未満で必要量を充していないこと及びグラステタニ-が発生していることからこれらの乳牛群に慢性Mg欠乏による泌乳障害が発生していることが判った。 実験動物によるMg欠乏症においては筋肉及び各臓器のMg含量の低下、Naの増加とKの減少、臓器によってはCaの沈着などの電解質の変動がみられていて、とくに各臓器のMg含量の低下と腎臓の石灰沈着が特徴であると云われている。 御幸牧場の乳牛から屠殺時に採取した心筋、骨格筋、肝臓、腎臓、ひ臓、乳腺及び唾液腺と、灰化した骨中の電解質を測定したところ、心筋、骨格筋、肝臓、腎臓皮質部及び髄質部、ひ臓においてはMg含量が低下し、更に心筋、骨格筋、腎臓髄質部においてはNaの増加とKの減少がみられた。腎臓の石灰沈着は皮質部においてはみられなかったが髄質部においては16頭の平均で約2倍であり、Cow No.5では7倍、Cow No.4では4倍にものぼった。骨の灰分中のCa及びMg含量は正常値と差はなかったが骨は骨粗鬆症を呈していた。 御幸牧場の各臓器の電解質は実験動物におけるMg欠乏症とよく一致するし、1967年オーストリアで発生した乳牛の慢性Mg代謝障害とも一致しているが、実験働物のMg欠乏症においては腎臓の石灰沈着を皮質部と髄質部に区別して測定していないし、オーストリアの乳牛の場合には骨の異常と低酸度二等乳の発生についてはふれていない。

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