アジア通貨危機とIMF

書誌事項

タイトル別名
  • Asian Currency Crises and the IMF
  • アジア ツウカ キキ ト IMF

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説明

アジアの通貨危機の原因と,IMF の果たした役割を検討する.アジア通貨危機の原因は,(1)ドルペッグ,(2)脆弱な銀行システム,(3)巨額な対外短期債務,及び各国事情による.タイの場合には大きな投機が入り,外貨準備を払底させたインドネシア・ルピアの大きな減価は,金融危機と資本逃避,及び政治的リスクにより引き起こされた.構造問題に焦点を絞った IMF 合意では市場の信頼を回復できなかった.韓国の場合は,韓国の銀行が,過大の対外短期借入をしており,その債務が借換え拒否にあったことが,危機の本質であった.この本質的な問題を捕らえていない IMF プログラムでは,効果がなかった.強制借換をないようとする合意は,ウォンの下落を止めた.アジア型危機には,事前に過大な資本流入をチェックする,危機が起きた場合には,大規模の支援プログラムを組むか,逆に貸し手にも損失を負担させるプログラムを組むか,どちらかを選択しないと,効果がない.

収録刊行物

  • 経済研究

    経済研究 50 (1), 68-93, 1999-01-27

    岩波書店

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