ブラジル大豆産業の構造変化―大豆集荷業を中心とした一考察―

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タイトル別名
  • Structural changes in the Brazilian soybean industry: A study of focusing on the Soybean trading business
  • ブラジル ダイズ サンギョウ ノ コウゾウ ヘンカ : ダイズ シュウカギョウ オ チュウシン ト シタ イチ コウサツ

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抄録

ブラジルは,大豆の生産量および輸出量のいずれも米国に並び立つ水準にあり,大豆の国際市場にとって最も重要な国の1つとなっている。また,そのブラジルにとっても,大豆は主要な輸出産品であり,経済的に重要な位置を占める品目である。 しかし,近年,ADM,Bunge, Cargill,Louis Dreyfusに代表される穀物メジャーや日系総合商社の一部は,ブラジルにおける大豆事業の収益性の低下を指摘しており,実際に事業の見直しを行っている会社もある。 こうした一見矛盾するように見える状況の背景には,これまで穀物メジャーなどが支配していると言われてきたブラジルの大豆サプライチェーン,特にその中核となる大豆集荷業において,事業を取り巻く環境に何らかの変化が生じ,その変化が穀物メジャーなどの企業の収益性に影響を与えている可能性があると考えられる。 本論においては,ブラジルの大豆集荷業を巡る近年の産業構造の変化について,マイケル・ポーターの「5つの競争要因分析」の枠組に基づいて考察した。そしてブラジルの大豆集荷業においては,2010 年代頃から,マクロ経済環境の改善等に伴う新規参入の増加,売り手である大豆生産者や買い手である搾油・精製業の交渉力の向上などの変化が進んだ結果,業界を巡る競争の構造に変化が生じ,大豆集荷業者の収益性が低下する原因となったと考えられることを指摘した。

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