日本版WISC-Ⅳ及びWPPSI-Ⅲの臨床群における因子構造 : 自閉症スペクトラム障害の有無における多母集団因子分析による検討

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タイトル別名
  • Factor structure of the Japanese version of WISC-IV and WPPSI-III in the ASD group and clinical group : a multi-group confirmatory factor analysis
  • ニホンバン WISC-Ⅳ オヨビ WPPSI-Ⅲ ノ リンショウグン ニ オケル インシ コウゾウ : ジヘイショウ スペクトラム ショウガイ ノ ウム ニ オケル タボシュウダン インシ ブンセキ ニ ヨル ケントウ

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抄録

本研究では、臨床群で日本版WISC-Ⅳ及びWPPSI-ⅢのCHC理論に準拠した因子構造を検証した。WISC-Ⅳに関しては、自閉症スペクトラム障害(ASD)群(N = 177,5歳0ヶ月~15歳6ヶ月)と非ASD 群(N = 56,5歳5ヶ月~16歳6ヶ月)で多母集団因子分析をおこない、因子構造の違いについて検討した。ASD 群及び非ASD 群でCHC 理論の因子構成で配置不変、測定不変が十分に成り立ったが、最も適合していたのは、流動性推理因子及び視覚空間因子から行列推理下位検査のへのパスのみに等値制約を置かない「行列推理モデル」であった。また、ASD群では行列推理下位検査が流動性推理因子には負荷せず、視覚空間因子に負荷し、一方で、非ASD群では行列推理は流動性推理因子に十分な負荷を示した。ASD群においては「行列推理」が流動性推理を表しにくい可能性があることを示した本研究結果は、研究及び臨床上、重要な問題を提示した。WPPSI-Ⅲの因子構造を臨床群(N = 57,5歳0ヶ月~6歳11ヶ月)で検証した。WPPSI-Ⅲの8検査に加え、WISC-Ⅳ「数唱」「算数」をバッテリーさせることで、CHC理論因子を構成した。確認的因子分析の結果からは、結晶性能力、流動性推理、視覚空間、短期記憶、処理速度の5因子構成の許容範囲の適合度を確認できた。「数唱」「算数」のワーキングメモリー下位検査をバッテリーさせることで、WPPSI-ⅢにおいてもCHC理論モデルでテスト結果を解釈できることが示された。

収録刊行物

  • 子ども発達臨床研究

    子ども発達臨床研究 15 1-10, 2021-03-25

    北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター

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