母国語および外国語としての日本語テキストの読解 : Think-aloud法による3つのケース・スタディー

書誌事項

タイトル別名
  • Reading Japanese as Native and Foreign Languages : Three CaseStudies by Think-aloud Method
  • ボコクゴ オヨビ ガイコクゴ ト シテ ノ ニホンゴ テキスト ノ ドッカイ Think aloudホウ ニ ヨル 3ツ ノ ケース スタディー

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説明

本研究は、日本語能力の異なる三人 (日本人の純子、アメリカ人の中級および上級の日本語学習者、Amy と Lisa) の日本語テキストの読解過程を、think-aloud (発話思考) 法を用いて解釈的に調べた。その際、読解の程度をチェックするために、母国語で内容の要約文を書かせ、読解テストを行なった。結果は、純子の母国語(L1)としての日本語テキストの読解は、社会的・感情的次元において、作者と対話する形で進められていた。外国語(L2)としての日本語テキストの読解では、中級レベルの Amy の場合、単語や短い句の解読 (decoding)、翻訳等ボトムアップ・ストラテジーが中心で、また、自己の理解度をチェックしたり、読解の仕方に言及する metacognitive ストラテジーも多くみられた。ただし、テキストの内容はあまり理解していなかった。上級レベルの Lisa は、未知の単語はかなりあったが、要約、内容に対する疑問など、トップ・ダウン・ストラテジーを多く用い、未知の単語の意味を推測することにも部分的に成功した。文の内容もほぼ正確に理解していた。しかし、Lisa の読解はあくまでテキストの世界に限定されており、純子のような社会的・感情的次元での読みとは質的に異なっていた。この事実は、L2の読解の限界性を示しており、特に上級学習者の読解を指導する際、教師が考えねばならない問題を示唆していると思われる。

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