社会的養護を要する子ども・若者への時間的展望療法(Time Perspective Therapy)適用の可能性と課題についての理論的検討

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タイトル別名
  • The possibility and problems of the application of Time Perspective Therapy with children and youth in need of alternative care
  • シャカイテキ ヨウゴ オ ヨウスル コドモ ・ ワカモノ エ ノ ジカンテキ テンボウ リョウホウ(Time Perspective Therapy)テキヨウ ノ カノウセイ ト カダイ ニ ツイテ ノ リロンテキ ケントウ

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抄録

施設や里親家庭で暮らす社会的養護児童は、トラウマや社会経済的地位、生い立ちの中で経験する時間的分断のために、バランスが取れた時間的展望を持つことが困難な状況にあるが、彼らに対して提供されてきたトラウマやアタッチメントの問題に焦点化した従来の心理治療は自立を視野に入れ、将来展望やバランスが取れた時間的展望を育むことに十分に注意を払ってこなかった。また、そうした心理治療のあり様は、特に児童養護施設において施設心理職とケアワーカーとの間で共通の目標を持って協働することを困難にする要因にもなってきた。本稿ではZimbardo et al.(2012)によって提唱された時間的展望療法(Time Perspective Therapy;TPT)を社会的養護児童への心理治療として適用することによってこうした課題を解決する可能性とその際の課題について理論的に検討した。TPTの適用は、治療動機が低い子どもにも適用しやすい可能性があることや、ケアワーカーや里親との共通の目標を持ちやすくなる可能性があること、社会的排除や社会的スティグマ、社会経済的地位の問題など、従来の社会的養護児童への心理治療が焦点化してきたトラウマ以外の課題を包摂できる可能性があること、自立を視野に入れた心理治療が実現できる可能性があること、子どもの意見に基づいた支援を実現できる可能性があることについて検討された。

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