ルカ福音書における祈り

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タイトル別名
  • Prayer in the Gospel of Luke
  • ルカ フクインショ ニ オケル イノリ

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抄録

祈りは人から神への意思を伝えるためのチャンネルであり、宗教生活においてはきわめて重要なものとされている。人は祈りによって懇願、感謝、悔い改めなどの心情を表す。新約聖書においても、祈りは大きな役割をもち、イエスは弟子たちに「主の祈り」を教えたのであった。4 福音書において祈りに関する語(動詞、名詞)の用例統計を見ると、ヨハネ福音書には全く見られないことが注目される。他方、ルカ福音書においては用例が多く、この語の分析を通してルカの祈りについての神学思想を見ることができる。ルカでは、並行箇所で祈りが言及されていない場面で祈りを取り上げる例が多いのであるが、イエス自身が祈る箇所(A)と祈りについて教える箇所(B)に分類してみると、Aにおいてはイエスの祈りは来るべき受難と関連していることが指摘できる。またBの箇所では、終末遅延に対して祈りで対処すべきこと、あきらめずに祈るべきことを教えている。しかしB(とくに18.1 以下)において、ルカは祈りによって人の期待が実現されるという考えを見せている。

収録刊行物

  • 基督教研究

    基督教研究 65 (1), 43-58, 2003-09-30

    基督教研究会

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