スポーツ選手の資質の検討における骨密度測定の可能性

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  • Proposed Application of a Bone Density Measurement to the Evaluation of Athletes' Talent
  • スポーツセンシュ ノ シシツ ノ ケントウ ニ オケル コツミツドソクテイ ノ カノウセイ

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抄録

従来よりフェンシング選手に必要と考えられる資質について,各種の測定を実施し検討を加えてきた.一般的に競技力を向上させるために必要な資質には,心理的側面と肉体側面に関係するものがあるように思われ,心理的,肉体的資質を考究するため,フランス等で実施されている判定方法を参考にして独自に改良を加え実施してきた.また,国際的競技力向上のためには,資質の研究とともにタレント発掘方法の研究も重要である.ヨーロッパ諸国では幼年期の骨の発育状態等に注目して将来の有望選手発掘を行っている.骨の発育と体格・体型には大きな関わりがあり,発育期の骨の状態を把握することは,長期間のトレーニング計画を立てる上においても重要なポイントなのである.このようにスポーツの競技力にも関係する骨密度は,一般的には放射線法を用いている.現在,同志社大学工学部大谷隆彦名誉教授と松川真美助教授は,超音波の特性を利用した骨密度測定装置の開発を進めている.今回は大谷,松川の超音波骨密度測定装置LD100の有効性と骨密度測定がスポーツ選手の資質の分析に与える影響について,同志社大学のフェンシング,テニス,卓球の男女選手の骨密度を測定し,透過波減衰,皮質骨厚,海綿骨骨量体積比および海綿骨弾性定数に注目してスポーツ科学の分野から検討を加えた. その結果,1)男女全員の骨密度をみた場合,男子が優位な値を示したが,海綿骨の硬さは男女ともほぼ同様の値を示したため,スポーツトレーニングが女子の骨形成に良好な影響を及ぼすのではないかと考えられた.2)フェンシング全日本選手権大会優勝者の測定値から骨密度の傾向をみてみた場合,強く硬い骨であった反面,海綿骨弾性定数は低く,海綿骨の柔らかさが想像された.このような骨の状態がスポーツにとって良好な状態かどうかは今後の課題ではあるが興味深い結果と思われた.LD100は海綿骨の弾性判定(Evaluation of bone elasticity)を可能にしたことで,スポーツ選手の資質の検討に多いに有効な測定装置となり得る可能性を有していると想像された.

収録刊行物

  • 同志社保健体育

    同志社保健体育 (44), 29-44, 2006-03-01

    同志社大学保健体育研究室

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