スポーツ選手の資質の検討における骨密度測定の可能性 (そのII)

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タイトル別名
  • Proposed Application of a Bone Density Measurement to the Evaluation of Athletes' Talent (II)
  • スポーツ センシュ ノ シシツ ノ ケントウ ニオケル コツミツド ソクテイ ノ カノウセイ ソノ 2
  • スポーツ選手の資質の検討における骨密度測定の可能性(その2)

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説明

優秀な競技選手を発掘するためには、体力・運動能力等の各種測定が広く用いられている。しかし,ヨーロッパ諸国では骨の発育状態等に注目して選手発掘を行っていることは周知の事実である。このようにスポーツ選手の骨密度等を測定し競技と骨の関係を見ることは、非常に有効であると考えられる。他方、中高年者を対象に実施し、大学生時代のスポーツ競技経験がその後の骨密度にどのような影響を与えるかを知ることも「スポーツと骨密度」の関係を検討する上で、貴重な資料となると考える。今回は、新しい超音波骨密度測定装置LD100を使用し、50歳以上の元スポーツ競技経験者および50歳以上のスポーツ競技未経験者の男性の骨密度を比較した。元スポーツ競技経験者の骨密度(Bone density)は、非競技経験者より良好と考えられた。しかし、弾性定数(elasticity)は両者とも同様の値を示した。次に年代別の骨密度をみたが、元スポーツ競技経験者は橈骨厚(thickness of radius)と皮質骨厚(thickness of cortical bone)は、加齢と共に減少したが、海綿骨骨量体積比(volume fraction of cancellous bone)は変化しなかった。非競技経験者の骨密度は、50歳代から60歳代にかけて減少したが、60歳代から70歳代にかけては変化しなかった。両者を比較したばあい、50歳代では明確な差はみられなかったが、60歳代から両者に有意な差が確認され、元競技経験者の骨密度が優秀であることが判明した。次に各測定値間の相関関係をみたところ、非競技経験者は各項目間に有意を示し、骨量、骨密度にバランスが取れていると思われた。それに反して元スポーツ競技経験者は、非競技経験者ほど高い相関は示さなかった。特に皮質骨厚と海綿骨弾性定数には有意な関係はみられなかった。今回の検討の結果みられた骨量や骨密度の加齢よる変化が、過去の運動経験によるものか否かを現時点で判断することは困難であるが、成壮年期のスポーツ・トレーニングを含んだ生活形態が骨形成に何らかの影響を与えていることと考えてもよいのかもしれない。

収録刊行物

  • 同志社保健体育

    同志社保健体育 (45), 21-36, 2007-03-01

    同志社大学保健体育研究室

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