新規学卒者採用における年齢制限の妥当性

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  • The validity of age limit in hiring graduates
  • シンキ ガクソツシャ サイヨウ ニオケル ネンレイ セイゲン ノ ダトウセイ

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抄録

本稿は、昨年来の景気後退による採用内定者の内定取り消しや新規学卒者に対する採用抑制、さらには、近年深刻化する就職超氷河期世代の年長フリーター(非正規雇用者)化等によりその問題性が再び問われ始めている「新卒採用に係る年齢制限の妥当性」について、検討を試みるものである。まず、年齢制限の弊害について、非正規雇用者の正規雇用化が困難な現状だけでなく、生涯賃金に換算した場合の正規雇用者との格差や、低所得(者)ゆえに大方生活保護による支援が必要になってくると思われる老後の試算結果等も示し、弊害の深刻さを知る。続いて、募集・採用段階の年齢制限の違法性が争点となった事案や新卒採用での年齢制限を例外的に許容する雇用対策法の法条文、そこにいたるまでの経緯等を概観し、制限の合理性の根拠とされてきた「長期勤続によるキャリア形成を図る」という雇用慣行の存在を確認する。その上で、募集・採用に係る年齢制限禁止の例外事由としてそうした取扱いが妥当なのか否か、ADEA(アメリカ年齢差別禁止法)の定める例外等と比較することにより、一応の判断を行う。さらに、当該慣行の現場での実効性についても「知的熟練論」の観点から考察を加える。そして最後に、当該例外事由の取扱いを含め、年齢制限による弊害を解決するために今後検討していくべき方向性について私見を述べる。

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