Gelatin sponge sheet combined with gelatin glue as new topical hemostatic materials : a preliminary report in an animal model

DOI 機関リポジトリ Web Site オープンアクセス

この論文をさがす

抄録

手術中の制御困難な出血は死亡率増加や医療費の高額化をもたらすため、術中止血は重要な課題である。そのため、多くの局所止血材が開発されている。このうちで、タココンブ(TC)は最も使用頻度が高く効果的な局所止血材の一つである。しかし、TCの優れた止血効果はヒト血液製剤と動物組織由来の止血成分を構成要素として使用されていることによる。これはTCの使用により感染症やアレルギー反応のリスクが高くなる問題を引き起こす。この問題を解決するために、アルカリ処理によりゼラチンのウイルスや抗原性構造部位ほぼ完全に排除されることに着目し、筆者らは構成要素としてアルカリ処理ゼラチンのみを使用しこれを凍結乾燥してゼラチンスポンジ作成し、これとゼラチン糊とを組み合わせた新規の止血材を考案した。スポンジ構造が傷口からの流出血液を速やかに吸収してゼラチンと粘性ゲルを形成し、同時に血中凝固成分が直ちに活性化され、その結果、出血部位で急速に血餅形成が促進される。更にゼラチン糊が血餅を含む粘性ゲルを出血部位に強固に糊着させる。本実験では(A)ゼラチンスポンジとゼラチン糊との組み合わせ、(B)タココンブ単独、(C)ゼラチン糊単独の3種類の止血材について、犬の脾臓表面を損傷させた実験モデルを用いて止血効果を比較した。その結果、ゼラチンスポンジとゼラチン糊の併用は、他の2つの材料に比較して有意に優れた止血効果を示した。結論として、ゼラチンスポンジとゼラチン糊の組み合わせは、その優れた止血効果に加えて、感染症やアレルギー反応のリスクが極めて低い利点を持つ、有用な局所止血材であることが明らかになった。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ