書誌事項

タイトル別名
  • Stocism and Zen-Buddhism
  • ストア テツガク ト ゼン

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説明

ストア哲学と禅といっても、両者が歴史的に関係あるというのではない。アレクサンドロス大王の東征(前三二七-三二五)の折、後で懐疑派を開いたピルローン(前二六〇-二七〇)が遠征に加わって印度に至り、印度でバラモンの行者に接したり、ストア学派の建設者ゼーノーン(前三三六-二六四)が印度の行者のことに言及したりしてるところからすれば、時代のずっと後れるエピクテートス(後五〇-一三八)の頃にはバラモンや仏教の思想がもっと普及していたと考えられぬこともないが、禅が盛んになったのは唐宋の頃であり、禅の始祖達摩(四六〇-五二八)が生存したのは西紀五世紀の末から第六世紀の始めにかけてであるから、第一世紀の後半から第二世紀の始めに生存していたエピクテートスやそれより少し後れるマルクス・アウレリウス(一二一-一八〇)に影響する筈もないからである。……

収録刊行物

  • 人文研究

    人文研究 11 (5), 412-424, 1960

    大阪市立大学文学会

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