「『彼らが本気で編むときは、』におけるトランス女性の身体表象と<母性>」

書誌事項

タイトル別名
  • Body Representation of a Trans Woman and "Motherhood" in Naoko Ogigami's film Close-Knit
  • カレラ ガ ホンキ デ アム トキ ワ ニオケル トランス ジョセイ ノ シンタイ ヒョウショウ ト ボセイ
  • 『彼らが本気で編むときは、』におけるトランス女性の身体表象と〈母性〉
  • 『 カレ ラ ガ ホンキ デ アム トキ ワ 、 』 ニ オケル トランス ジョセイ ノ シンタイ ヒョウショウ ト 〈 ボセイ 〉

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説明

映画『彼らが本気で編むときは、』(荻上直子監督, 2017)は、ネグレクトされた少女がトランスジェンダー女性と暮らす叔父の家にやって来て、ケアや愛情を受け、家族のように過ごす日々を描いた作品である。性的マイノリティへの差別と不理解が描かれ、高い評価を得ている一方、当事者から辛辣な批判も起こった。本稿はこの批判に着目し、本作のトランス女性表象を分析する。まず、批判の対象となったシーンを検証し、新しいトランス像が描かれていること、トランス差別を批判的に見ることができる物語叙述であることを指摘する。次に、トランス女性の<母性>表象を分析し、母親役割は生まれた時の性別に依拠しないことを描いた本作の意義を示す。しかし、トランス女性に規範的ジェンダーをあてはめ、近代家族像をなぞり、<母性>によってセクシュアリティを隠蔽していることから、本作が差別に対して二面的な描き方を行っていることを論じる。

収録刊行物

  • 人権問題研究

    人権問題研究 16 47-67, 2019-03-31

    大阪市立大学人権問題研究センター

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