遅延価値割引課題を使用した精神疾患の理解の現状と展望 : 社交不安を中心として

書誌事項

タイトル別名
  • Mental Disorder from the Viewpoint of Temporal Discounting : Focusing on Social Anxiety
  • チエン カチ ワリビキ カダイ オ シヨウ シタ セイシン シッカン ノ リカイ ノ ゲンジョウ ト テンボウ シャコウ フアン オ チュウシン トシテ

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説明

遅延価値割引とは、報酬が得られるまでの待ち(遅延)時間によって報酬の主観的価値が低下することである。学習心理学では、即時少量報酬と遅延多量報酬の間の選択場面で前者を選択することは衝動性、後者を選択することはセルフコントロールと定義されており、遅延価値割引の程度は衝動性の程度を表すとされている。遅延価値割引に関する先行研究では、遅延価値割引と精神疾患との関係が報告されてきた。社交場面への恐怖感や、回避行動を特徴とする社交不安についても遅延価値割引との関係が調査されているが、社交不安傾向と遅延価値割引の程度との関係は、研究間で一貫していない。本論文では、遅延価値割引と精神疾患の関係を報告した研究を概観し、特に社交不安を扱った研究で、遅延価値割引との関係が一貫しない要因について検討する。そして、先行研究の結果に基づき、遅延価値割引課題の社交不安への応用に関しての展望を行う。それにより、社交不安の病態解明や、遅延価値割引課題のその他の精神疾患への適用可能性の拡大への一助となることを期待する。

収録刊行物

  • 人文研究

    人文研究 71 105-127, 2020-03-31

    大阪市立大学大学院文学研究科

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