嫉妬研究の概観と展望

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タイトル別名
  • A Review of Studies of Romantic Jealousy
  • シット ケンキュウ ノ ガイカン ト テンボウ

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説明

本論文の主な目的は,現在まで行われてきた社会心理学的な恋愛関係における嫉妬研究の大きな流れの紹介と他の分野の嫉妬研究の紹介も行うことで今一度嫉妬とは何か,検討し直すことにある。私たちにとって重要な他者との人間関係は生活全般や人生に関わる大きな重要性を持つ。それゆえに恋愛関係や夫婦関係を代表する人間関係を守ろうと,あるいはすがりつこうとして私たちは嫉妬 jealousyを経験する。嫉妬の度合いが過剰となると関係の崩壊にもつながり,また事実に基づかない妄想的な嫉妬はやがて病理的な色を帯びるが,そもそも嫉妬妄想と嫉妬の地平はどこにあるのだろうか。嫉妬しないこと・嫉妬を抑圧することが万人の理想の状態として意識されるべきなのだろうか。本稿ではまず嫉妬の字義の整理,妬み・羨望との異動を論じ,次に精神病理学・精神分析学・進化心理学,そして特に社会心理学的観点からの嫉妬研究について表層的ながらも紹介を行い,そのプロセスや病理性の所在について論を試みた。今後更に広い知見から総合的に嫉妬という力動を捉えていくことが求められるだろう。

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