フランス第三共和制初期の教員養成改革に関する考察(3)―1879年師範学校設置法の成立過程:その3―

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  • Essai sur la Reforme de la Formation des Instituteurs en la Troisieme Republique (3)

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抄録

本稿では、1879年師範学校設置法の成立過程について、下院における第二回および最終審議の概要とそこにみられる論議の特徴について考察した。この審議過程では、改革立案・推進主体およびそれに対する反論主体双方ともに、教員の世俗化、より正確には教員資格の世俗化をめぐって論議を展開したこと、したがって本法案の主要目的がそこに置かれていた点をあきらかにした。また、法案報告者ポール・ベールによって、師範学校による教員養成の特色として、教授法―「教える」方法に関する教育の存在が強調されたことをあきらかにしたことで、この時点における改革立案主体にとって、この教授法の教育とそれをとおしての教授方法の習得・向上という点が、新たな、すなわち世俗的な教員に必要な「資質(qualite)」の内実として認識・強調されていたことを指摘した。本法案は第1条の一部修正―二つの県による師範学校の共同設置を許容する条項の追加―された上で可決され、上院におくられたのであった。

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