〈症例報告〉多剤薬剤過敏症を合併したクローン病初発例に対してウステキヌマブを使用し寛解導入に成功した1例

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  • Successful induction of remission with ustekinumab in a first-episode case of Crohn’s disease complicated by multiple drug hypersensitivity

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抄録

[抄録]クローン病は原因不明の炎症性腸疾患であり,寛解導入法には完全経腸栄養法やステロイド薬,免疫抑制剤,および生物学的製剤などの薬物療法が用いられる.多剤薬剤過敏症は臨床的に2種類以上の化学的に異なる薬物によって誘発される薬物過敏症反応を指し,皮膚試験や in vitro 試験が診断に有用である.今回,ウステキヌマブによる寛解導入に成功した多剤薬剤過敏症を合併したクローン病の一例を経験したので報告する.症例は12歳の男子20XX年3月から軟便,肛門痛,および血便が出現し,5 月に肛門痛の増悪,体重減少を認めたため精査加療目的で入院となった.理学所見で肛門に数条縦走する裂肛が認められた.上下部消化管内視鏡所見では,盲腸から横行結腸にかけて血管透見不良,粘膜の発赤・塑像,縦走潰瘍や敷石像があり,病理組織ではリンパ球や形質細胞の浸潤,炎症性肉芽腫の所見を認め,クローン病と診断後,経腸栄養剤,メサラジン内服を開始した.ところがヒドロキシジンパモ酸塩,アセトアミノフェンにより発熱,口唇の腫脹,炎症反応の上昇,および播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)を呈した.母が多剤薬剤過敏症であり,最終的にクローン病の全身性合併症による DIC と考え,トロンボモジュリン製剤投与とステロイドパルス療法による加療で改善した.しかし DIC が再燃したため,ウステキヌマブによる寛解導入を行い,成功した.

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