沖縄の子どもにおける「共育的関係」構築への考察

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タイトル別名
  • Considerations on the mutual growth relationships among children and communities in Okinawa
  • オキナワ ノ コドモ ニ オケル 「 キョウイクテキ カンケイ 」 コウチク エ ノ コウサツ

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抄録

本論文は、沖縄の子どもたちの現状と課題についての分担研究の成果をまとめたものである。まず、「開かれた共育への模索」では、これまで充分に目が届かなかった沖縄における病弱児教育とハンセン病児教育の歴史を丁寧に掘り起こし、日記等の作品を通して厳しい現実の中で自分を受け入れ存在を認めてくれる関係、つまり共育的関係を子どもたちが求めていることを明らかにしている。その上で、現状と課題の実証と課題の実証的分析を行っている。「沖縄県の認可外保育施設の現状と分析」では、全国で最も認可外保育が多い沖縄の実態と、その社会的背景を明らかにしている。その現実からの脱出のため「子ども・子育て新システム」の活用、という大胆な仮説を提出している。「那覇市の学童保育の現状と課題」では、公立2ヶ所、民間41ヶ所、という現実を踏まえ、共通する問題点として面積の狭さ、設備の不十分さを指摘し、力量のある指導員の重要性とガイドラインの設定についてまとめている。「聴覚障がい児を中心とした共育的関係の可能性」では、聴覚障がい者自身が、同じ障がいの子ども達との学びの場「寺子屋」をつくることによって共育的関係を構築している状況を、連絡帳の文章を通して明らかにしている。最後に、那覇市A地域をモデルにした「共育的地域社会の創造」では、少子高齢化とコミュニティの希薄化の中で「子ども遊び場」空間と地域の活性化の可能性について論じている。以上の研究を踏まえ、現代では共育的関係の構築がコミュニティや学校にとって大切であることが確認され、そのための条件づくりの必要性が明らかになった。

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