亜高山帯常緑針葉樹林におけるオオシラビソ・シラビソ立木の腐朽診断

  • 高尾 真世
    信州大学農学部森林科学科 現所属:王子グリーンリソース株式会社
  • 小林 元
    信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター 信州大学農学部農学生命科学科森林・環境共生学コース
  • 山越 麻由
    信州大学総合理工学研究科農学専攻 現所属:第一園芸株式会社
  • 城田 徹央
    信州大学農学部農学生命科学科森林・環境共生学コース
  • 岡野 哲郎
    信州大学農学部農学生命科学科森林・環境共生学コース
  • 白澤 紘明
    信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター 現所属:国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所林業工学研究領域
  • 荒瀬 輝夫
    信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター 信州大学農学部農学生命科学科森林・環境共生学コース
  • 木下 渉
    信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター
  • 野溝 幸雄
    信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター
  • 酒井 敏信
    信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Diagnosis of wood decay in <i>Abies mariessi</i> and <i>Abies veitchii</i> in a subalpine evergreen coniferous forest
  • アコウザンタイ ジョウ リョク シンヨウジュリン ニ オケル オオシラビソ ・ シラビソ タチキ ノ フキュウ シンダン

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抄録

<p>亜高山帯常緑針葉樹林において,応力波伝播速度と穿孔抵抗の測定によるオオシラビソとシラビソ立木の腐朽診断を行い,亜高山帯林における立木の材質腐朽の発生要因について考察した。応力波伝播速度は,材質腐朽および凍裂の生じた個体において低い値を示すものが多かった。また,凍裂の生じていない個体においては,樹幹直径方向の腐朽部の長さの比率が大きくなるにつれて低下した。応力波伝播速度のヒストグラムは正規分布もしくは左裾広がりの分布型を示し,オオシラビソ,シラビソ共に林分の標高が高くなるにしたがってより遅い階級に分布する本数密度が増加した。このことから,オオシラビソとシラビソにおいては,林分の標高が高くなるにしたがって材質腐朽木と凍裂木の本数密度が増大するといえた。凍裂木の多くが辺材腐朽していたことから,凍裂による樹幹の割裂部も木材腐朽菌の侵入経路の一つとして考えられた。凍裂木と辺材腐朽木は標高の高い林分で多く見られたことから,高標高林分においては,凍裂も材質腐朽を発生させる大きな要因と考えられた。</p>

収録刊行物

  • 森林立地

    森林立地 63 (2), 39-44, 2021-12-25

    森林立地学会

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