先天性正中鼻瘻孔の 1 例

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タイトル別名
  • A Case of Congenital Median Nasal Fistula
  • センテンセイ セイチュウ ビロウコウ ノ 1レイ

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抄録

<p>27 歳,男性。生下時から存在する鼻背部正中の瘻孔より繰り返し毛の排出を認めるようになり来院した。摘出すると重層扁平上皮で裏打ちされた瘻孔が鼻骨骨膜まで達しており,先天性正中鼻瘻孔と診断した。先天性正中鼻瘻孔は鼻部正中の皮膚付属器を伴う重層扁平上皮により構成された瘻孔を特徴とし,頭蓋内進展を来すこともある。またその走行のどこにでも瘻管が拡張した形で囊腫を形成しうる。発生機序としては胎生期に硬膜より伸びる外胚葉成分が鼻中隔内や prenasal space 内に遺残して生じるとする説があり,しばしば頭蓋内進展を来すことを説明しうる。本邦報告例を集積すると 39 例中 26 例(66.7%)で経過中に何らかの感染徴候が認められていたが,診断されないまま切開排膿で経過観察となっている症例も多かった。また 39 例中 11 例(28.2%)に頭蓋内進展がみられ,脳膿瘍から死亡に至った症例もあった。鼻部正中の瘻孔や囊腫をみた際は先天性正中鼻瘻孔を想起し,画像検査により頭蓋内進展の有無を評価する必要があり,頭蓋内進展が疑われた場合は早期の確実な全摘出が望ましい。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 83 (6), 509-514, 2021-12-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (7)*注記

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