経腹的子宮頸管縫縮術後の前置胎盤で子宮を摘出した症例

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タイトル別名
  • A case of hysterectomy after transabdominal cerclage in a patient with placenta previa
  • ケイ フクテキ シキュウケイカン ヌイチジミ ジュツゴ ノ ゼンチ タイバン デ シキュウ オ テキシュツ シタ ショウレイ

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抄録

<p>経腹的子宮頸管縫縮術は,深い子宮頸部円錐切除術後などで経腟的子宮頸管縫縮術が困難な場合などに選択される手術である.本邦では,健康保険の適応となっていないため,実施される頻度は少なく合併症の報告も少ない.今回,妊娠14週で経腹的子宮頸管縫縮術を行って妊娠継続がはかれたが,前置胎盤となり帝王切開時の弛緩出血のため子宮を摘出せざるを得なかった症例を経験したので報告する.症例は40歳,4妊0産.33歳時にCIN3に対して子宮頸部円錐切除術,36歳時に妊娠18週で破水して妊娠20週で流産した既往がある.他院で凍結融解胚移植を行って妊娠成立し,妊娠12週時に性器出血のため当院を受診した.円錐切除の影響で腟円蓋部が消失しており,経腟的な頸管縫縮は困難と判断したため妊娠14週で経腹的子宮頸管縫縮術を行った.妊娠継続がはかれたが,前置胎盤の状態であり警告出血がみられたため妊娠35週0日に選択的帝王切開術を施行した.2602gの男児を娩出し,胎盤も癒着胎盤を疑う所見はなく容易に娩出可能だった.しかし,その後の子宮収縮が非常に不良で各種治療にも抵抗性であった.出血が持続するため子宮を摘出する方針とし,子宮腟上部切断術を行った.摘出子宮および胎盤の術後病理診断では子宮収縮不全に関連する異常を認めなかった.経腹的子宮頸管縫縮術後症例における前置胎盤発生率や弛緩出血の頻度などについて考察された報告は少なく,今後の症例の蓄積が期待される.〔産婦の進歩74(1):114-119,2022(令和4年2月)〕</p>

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