工場較正の不調が疑われた間歇スキャンCGM センサーの事例

DOI
  • 加藤 研
    (独)国立病院機構大阪医療センター 糖尿病内科
  • 益田 貴史
    (独)国立病院機構大阪医療センター 糖尿病内科
  • 坂根 直樹
    (独)国立病院機構京都医療センター 臨床研究センター予防医学研究室
  • 西村 英里香
    (独)国立病院機構大阪医療センター 糖尿病内科
  • 向井 うらら
    (独)国立病院機構大阪医療センター 糖尿病内科
  • 光井 絵理
    (独)国立病院機構大阪医療センター 糖尿病内科
  • 山本 裕一
    (独)国立病院機構大阪医療センター 糖尿病内科
  • 村田 敬
    (独)国立病院機構京都医療センター 臨床研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • 間歇スキャンCGM センサー工場較正不調疑い事例

この論文をさがす

抄録

FreeStyleリブレ(アボットジャパン)は持続血糖測定器(continuous glucose monitoring: CGM) の一種で、専用の読み取り機をかざしたタイミングでのみおおよその血糖値を表示する間歇スキャンCGM(intermittent-scanning CGM: isCGM) に分類される。また、FreeStyle リブレセンサーは工場較正が行われているため、使用期間中の従来法の血糖自己測定(self-monitoring of blood glucose: SMBG) による較正が不要である。今回、センサーグルコース値がSMBGによる測定値と比べて極端な高血糖側への乖離が見られた事例を経験したので報告する。症例は1 型糖尿病罹病歴11年の40歳代男性。使用開始直後からセン サーグルコース値とSMBGによる測定値の間に著明な乖離が見られた。使用中止までの9 日間のmean absolute relative difference (MARD) は41.5%、mean absolute difference (MAD) は71.1mg/dLであった。また、Clarke error grid解析を行ったところ、Zone A: 12.5%, Zone B:83.3%、Zone C: 4.2%, Zone D: 0%, Zone E: 0%であった。当該センサーは使用終了後に患者が破棄してしまったため、ロットとシリアル番号を確認できなかった。今回、このような事象が発生した原因は特定できていないが、添付文書の記載通りに使用していたにもかかわらず発生した事象であることを考慮すると、当該センサーについては工場較正が不調であった可能性が疑われる。FreeStyleリブレは便利であるが、適正かつ安全な使用のためには、個別のセンサーの精度を適宜検証しながら使用することが必要であると考えられた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ