原発性血管炎の小腸病変の検討

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抄録

<p>【目的】原発性血管炎はときに消化管病変を合併するが,その画像所見の報告は少ない.今回原発性血管炎の消化管病変の画像所見,特に小腸内視鏡所見について検討する.【方法】当科及び関連施設において原発性血管炎と診断され内視鏡検査が施行された症例を対象とし,その消化管病変を遡及的に検討した.【成績】対象症例はIgA血管炎(IgAV)33例(上部内視鏡33例,小腸内視鏡18例,下部内視鏡26例に施行),好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)19例(上部内視鏡19例,小腸内視鏡9例,下部内視鏡18例に施行)、多発血管炎性肉芽腫症(GPA)1例、巨細胞性動脈炎(GCA) 1例であった。このうちIgAVとEGPAを比較すると消化管病変の頻度はIgAVで有意に十二指腸で高く(76% vs. 21%, p<0.05),空回腸では有意差はないもののいずれの疾患でも病変頻度が高かった(94% vs. 78%).内視鏡所見(発赤,びらん,潰瘍,血腫様変化)の比較では十二指腸においてIgAVで発赤(IgAV55%/EGPA21%),潰瘍(33%/0%),血腫様変化(21%/0%)が多かった(p<0.05).空回腸ではIgAVで発赤(72%/33%, p<0.1) が多い傾向にあったが,その他の所見に差はなかった.また潰瘍の形態(縦走,輪状,類円形,不整形)に差は認めなかった.GPAでは十二指腸に一部輪状傾向を有する不整形~地図状潰瘍を,空腸に露出血管からの活動性出血を伴う潰瘍を認め,GCAでは回腸終末部に区域性に縦走・輪走する潰瘍と瘢痕,狭小化を認めた.【結論】原発性血管炎による小腸病変は多彩な像を呈しているが,IgAVはEGPAと比較し十二指腸の発赤,潰瘍,血腫様変化の頻度が高く,いずれの疾患においても空回腸の病変頻度が高かった.</p>

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  • CRID
    1390854064975540992
  • NII論文ID
    130008161167
  • DOI
    10.32264/shocho.5.0_28
  • ISSN
    24347019
    24342912
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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