当院における<i>MEFV</i>遺伝子関連腸炎の検討

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抄録

<p>【目的】MEFV遺伝子関連腸炎例の臨床背景、消化管内視鏡所見を検討し、鑑別診断に寄与する。【方法】2020年11月までに札幌医科大学でMEFV遺伝子解析を行った当科のinflammatory bowel disease unclassified (IBDU)を含む分類不能腸炎40例のうち、MEFV遺伝子変異を認めた20例を対象に、臨床背景、消化管内視鏡所見、治療効果等を検討し、本疾患を想起すべき内視鏡所見について検討した。【結果】女性11例。発症時年齢は34.5(19-71)歳、診断時年齢は48.6(17-76)歳と、確定診断までに約12年要していた。症状や合併症は腹痛20例、下痢15例、血便12例、38℃以上周期的発熱11例、関節炎10例、頭痛7例、結節性紅斑4例、痔瘻2例等だった。初期診断は分類不能腸炎4例、クローン病(CD)疑い7例、潰瘍性大腸炎(UC)疑い7例、ベーチェット病疑い1例だった。変異はexon 1が1例、exon 2が14例、exon 3が4例、exon 5が1例だった。消化管病変の局在は食道6例、胃14例、十二指腸11例、空腸回腸14例、大腸16例と広範に分布していた。胃の竹の節状外観の他、小腸は広範なびらんや潰瘍が多かったが、ノッチサインやmucosal break、縦走配列のびらん、多発狭窄など多彩な所見を呈していた。コルヒチン投与19例は16例(84.2%)、抗TNFα抗体製剤投与13例は76.9%(10例)が有効ないし寛解で、発作時ステロイド7例も全例有効だった。【結論】MEFV遺伝子関連腸炎の病変は消化管に広範に分布するため、上下部消化管内視鏡検査に加え、小腸内視鏡検査も一度は行うべきと思われた。CDやUCの典型的所見と合致しない内視鏡所見を有する症例に対し、問診等で本疾患を想起することが、確定診断に寄与すると思われた。</p>

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  • CRID
    1390854064991986688
  • NII論文ID
    130008161166
  • DOI
    10.32264/shocho.5.0_29
  • ISSN
    24347019
    24342912
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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