MEFV遺伝子変異を伴う小腸病変を有するIBD unclassifiedの2例

DOI

この論文をさがす

抄録

<p>【症例1】20歳代女性.全大腸型UCとしてMesalazineで加療中であったが,経過中に著明な低アルブミン血症を伴う水様性下痢が出現した.腹部CTでは回腸に広範な粘膜浮腫を認め,その後施行したDBEでは遠位回腸に輪状または縦走する多彩な潰瘍性病変と狭窄病変を認めた.便培養では有意菌は検出されなかった.PSL50㎎ / 日にて治療開始するも奏功せず症状は遷延した.症状の出現はPPI開始と同時期であり,PPIによるdysbiosisの可能性を考え,PPI中止と抗菌薬(MNZ,CPFX)内服治療を開始したところ,血清アルブミン値および回腸の潰瘍性病変は改善した.UCとして非典型的な臨床経過と内視鏡所見を呈していたことからIBDUとしてMEFV遺伝子解析を実施したところ,Exon2(E148Q homo)変異陽性と判明した.</p><p>【症例2】70歳代男性.3ヶ月続く水様性下痢にて当院を受診した.血液検査で著明な低アルブミン血症を認め,腹部CTでは回腸に浮腫性変化を認め,小腸炎と診断された.CSでは大腸に有意所見を認めなかったが,CEおよびDBEでは回腸に不整形潰瘍と縦走潰瘍を多発性に認めた.便培養では有意菌は検出されなかった.抗菌薬(MEPM)投与が奏功せず,低アルブミン血症を伴う小腸炎は遷延した.確定診断が得られず治療に難渋し,IBDUとして診断目的にMEFV遺伝子解析を実施したところ,Exon2(E148Q hetero)変異陽性と判明した.</p><p>【考察】近年,MEFV遺伝子変異に関連するIBD類似の消化管病変が注目されているが,著明な低アルブミン血症を伴う場合には小腸病変の存在を念頭に置く必要があると考えられた.MEFV遺伝子変異に伴う小腸炎ではdysbiosisなどの二次的な病態が関与する可能性もあり,コルヒチンのみならず抗菌薬も治療選択肢の一つとして考慮する必要があると考えられた.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ