中葉完全無気肺を呈した気道異物(魚骨)の1例

  • 今林 宏樹
    東京女子医科大学八千代医療センター呼吸器外科
  • 星野 英久
    東京女子医科大学八千代医療センター呼吸器外科
  • 太枝 帆高
    東京女子医科大学八千代医療センター呼吸器外科
  • 黄 英哲
    東京女子医科大学八千代医療センター呼吸器外科
  • 関根 康雄
    東京女子医科大学八千代医療センター呼吸器外科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Bronchial Foreign Body (Fish Bone) with Complete Atelectasis of the Middle Lobe

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抄録

<p>背景.異物が気道内に長期間留まると,周囲に肉芽形成をきたし,異物の摘出に難渋することがある.症例.78歳男性.脳梗塞に対し抗凝固薬内服を開始した3カ月後より血痰を認め,前医を受診した.胸部CT,喀痰検査で異常を指摘されず経過観察となった.2カ月後,血痰の再燃が認められ,CTで中葉完全無気肺が認められた.抗菌薬で無気肺の改善が認められないため,当科紹介となった.前医で初回撮影されたCTで中葉支入口部近傍に高吸収値を呈した線状陰影を認め,気道異物を疑い気管支鏡検査を施行した.気管支鏡で観察すると,右中間幹から中葉支入口部に白色扁平な異物を認め,周囲は肉芽形成をきたし,中葉支入口部は完全閉塞していた.生検鉗子で異物を把持すると可動性が得られ,容易に異物を摘出できた.摘出異物は魚骨であった.肉芽による中葉支入口部完全閉塞に対する処置は行わず,トラニラストの内服を開始し経過観察の方針とした.異物摘出1カ月後の胸部X線で中葉に含気を認め,3カ月後のCTで中葉完全無気肺は軽快した.結語.CT上,異物の気道壁への陥入は軽度と考えられたため,生検鉗子で把持後,そのまま異物を摘出した.肉芽による中葉支入口部の完全閉塞を認めたが,異物除去に伴う肉芽の消退を期待し処置は行わず,トラニラストの内服を開始し中葉完全無気肺は軽快した.</p>

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 44 (1), 73-78, 2022-01-25

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

被引用文献 (1)*注記

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